高齢者の運転免許、自主返納定着進まず (三重)

 「車がない生活なんて考えられない。ここはバスも不便だし」。

この言葉は、核心をついた言葉であると思う。

高齢者の交通事故が増加の一途をたどっている昨今、
運転免許の自主返納をよびかけているが、なかなか定着していないという。

運転能力が衰え、運転に支障をきたしてしまうのは確かに危険だ。
しかし、移動手段を奪われてしまった高齢者は日々の生活をどうしていけばよいのか。

自治体が、無料シャトルバスや、食料品の宅配サービスなど、高齢者の「足」に変わる機能を果たしてくれればよいのだが、財政的にもかなり厳しいものがあるらしい。

さらに、車を運転ができなくなり、
生活のためだけでない外出がままならなくなってしまった場合、
高齢者はどうすればよいのか・・・。

高齢者の交通事故防止と、免許返納制度、
この表裏一体の関係は、今後どの自治体でも頭を悩ます問題になるのであろう。



高齢者の交通事故が増えていることから、県警は運転中の判断力の衰えを感じた高齢ドライバーに運転免許の自主返納を呼び掛けている。しかし、公共交通機関が不便な地区や高齢者世帯では、車に替わる移動手段の確保が難しく、2008年中に返納した高齢者はわずか178人と少ない。

 運転免許の返納制度は高齢者の事故抑止などを狙いに、1998年度から全国で始まった。免許保有者が自主的に運転免許センターや最寄りの警察署に出向いて返納を申請する。強制力はない。

 県警によると、県内の65歳以上の高齢ドライバーは年々増加し、08年末時点で約21万人。免許保有者の約17%を占めている。それに伴って、安全確認の不足や、前方不注意による事故が多発している。高齢者が起こした人身事故は08年で1732件発生した。そのうち死亡事故は21件。全死亡事故の20%を占めた。

 県警は免許更新の高齢者講習と交通安全教室で、身体機能の低下を自覚してもらうための検査を行っている。同時に、免許の返納制度の啓発にも努めているが、返納者の割合は千人に一人にも達していない。

 「車がない生活なんて考えられない。ここはバスも不便だし」。県自治会連合会長の大田武士さん(71)=津市雲出伊倉津町=は、制度には賛成の立場だが返納には消極的。妻美子さん(65)との2人暮らしで、通院や買い物、農作業で車は欠かせない。

 身体機能の低下は自覚している。免許更新の際、教官から方向指示器を出す遅さを指摘された。近所には「もみじマーク」をはった車で、幹線道路を低速走行する人が多く、事故の話を耳にする機会も増えた。

 返納率を上げるため、県外では返納者を対象としたバスや電車の割引制度を設けている自治体がある。しかし、三重県では財政的な事情からこうした優遇措置を導入している例はない。さらに高齢者世帯が多い過疎地域では、公共交通機関が不便で、車以外の移動手段がないに等しい。

 そんな中、警察庁は6月から75歳以上の免許更新者に、認知機能検査を義務付ける。異常が見つかり、過去に交通違反がある場合は専門医で受診し、認知症と診断されれば免許の停止か、取り消し処分を受ける。

 県警交通企画課は「一方的に返納を求めるだけでは効果は少ない。行政と連携し、車がなくても不自由さを感じない仕組みを構築しなければならないだろう」と話している。

 (鈴木龍司)

中日新聞 2009年4月20日 より引用



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